マイクロソフトが75億ドルでベセスダ買収 追い詰められるソニー |
9月21日、マイクロソフトはアメリカの大手ゲーム会社「ベセスダ・ソフトワークス」と、その親会社「ゼニマックス・メディア」など関連スタジオを75億ドル(約7830億円)で買収した事を発表しました。 参考リンク:https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20200921002/
日本のゲームユーザーにとってはあまり馴染みがないでしょうが、ベセスダは「The Elder Scrolls」シリーズ(オブリビオン・スカイリム他)や「Fallout」など、累計販売本数1000万本・2000万本ものタイトルを有する、世界トップクラスの巨大ゲーム会社です。そのベセスダがマイクロソフトに買収され、事実上のファーストメーカーになったという事は、極めて大きな意味を持ちます。
ハードメーカーは、基本的に自社ハードでしか自社ソフトを発売しません。例えば、任天堂の看板タイトルであるスーパーマリオやポケットモンスターが、プレイステーションで発売された事は一度もありません。逆に、ソニーのみんなのゴルフやグランツーリスモが、任天堂ハードで出た事もありません。ハードメーカーは自社のゲーム機を普及させる事が最重要課題なので、他社ハードでソフトを発売するのはマイナス面が大きいのです。
一部例外として、マイクロソフトのマインクラフトは、WiiUやSwitch、VitaやPS4など他社ハードでも発売されています。マインクラフトは元々スウェーデンのゲーム会社「Mojang Studios」のタイトルで、当初はマイクロソフトの作品ではありませんでした(2014年に買収)。マイクロソフトは現在でもマインクラフトのマルチ展開を継続していますが、これはクロスプラットフォーム化してより多くのユーザーを獲得する事を目的とした戦略です。実際、マインクラフトは全プラットフォームの合計販売数で1億7600万本以上(2019年時点)を記録しており、世界で最も売れたビデオゲームとなったのです。
しかし、マインクラフトはあくまで特例であり、ベセスダのソフトは今後Xboxシリーズ(とパソコン)でしか発売されないと考えるべきです。とはいえ、おそらくこの買収がSwitch市場に与える影響は小さいです。Switchはこれまで、ほぼ任天堂1社のソフトでハードを普及させてきましたし、そもそも買収が無かったとしても、性能面でベセスダの主力タイトルを出すのは難しかったと思われます。
一方、ソニーがマイクロソフトにベセスダを奪われた事は大きな痛手です。自社ソフトの力が弱く、サードパーティーに依存しているソニーにとって、有力なソフトメーカーを永久に失った事は正に致命傷です。買収前から開発が進んでいたベセスダのソフトについては、今後もPSで発売されるという事ですが、これから開発が始まるタイトルについては、Xboxの独占となるでしょう。
こうした状況でも、ファミ通は「ベセスダソフトは今後もPSで発売されるだろう」という旨の記事を掲載しています。75億ドルもの大金を使って買収したのに、何故ライバルハードにソフトを提供すると思えるのか、ファミ通のPS脳は筋金入りです。 https://www.famitsu.com/news/202009/22206218.html
確かに、これまでマルチタイトルだったベセスダのソフトがXbox独占になる事で、その分売上は減少するでしょう。買収した75億ドル分を取り戻すのは、決して容易ではありません。しかし、マイクロソフトはサブスクリプションサービスであるXboxゲームパスの充実が狙いであり、買収で短期的に損をしても、将来的には大きなプラスになると判断したのだと推測されます。何より、PSを完全に潰す事がマイクロソフトにとって最大の利益になる、という思惑があったのではないでしょうか。マイクロソフトの、次世代機は必ず勝利するという本気度が窺えます。
なお、マイクロソフトは今後も大手ソフトメーカーを買収していくという噂があります。世界最大規模の会社であるマイクロソフトと札束での殴り合いになると、ソニーには全く勝ち目はありません。ただでさえ、PS5の性能はXboxSXに劣っているのに、ソフトラインアップでも差を付けられる事になれば、最早PS5の存在価値は無いです。
ちなみに、アメリカ任天堂の社長ダグ・ボーザー氏は、マイクロソフトのゲーム事業のトップであるフィルスペンサー氏に対して「おめでとう!」と軽いノリでの買収お祝いコメントを寄せています。 また昨日10月1日には、スマブラSPの新ファイターとして、マインクラフトのスティーブ・アレックス・ゾンビ・エンダーマンの参戦が発表されました。
このように、任天堂とマイクロソフトは良好な関係を築いています。どこかのハードメーカーだけが孤立している気がしますが、まあこれも自業自得でしょう。
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