任天堂の第72期定時株主総会の質疑応答が掲載されています。 http://www.nintendo.co.jp/ir/stock/meeting/120628qa/02.html
以下、気になった記事をいくつかピックアップします。
Q2 これからWii U等の発売にあたり、オンラインサービス等のコストが増大していくと思うが、それをどうやって補っていくのか。例えば、有料会員から月額料金を徴収する、パッケージソフトに(コストを)上乗せするといった方策はあるのか。
A2 任天堂のお客様は、ゲーム関与の度合いに大きな差があり、非常に熱心に遊ばれる方から、非常にカジュアルに、普段はあまりゲームのことには興味はないけれども、世の中で盛り上がったり、はやることがあれば、一緒にお付き合いいただける方や、あるいは、年末年始であるとか、夏休みであるとか、そういう季節のときに一緒にお付き合いいただけるというお客様までおられますので、私は、必ずしも有料会員型のサービスが望ましいとは思っておりません。もちろん、「どんなに濃密なサービスをしても必ず無料で提供します」などとお約束できるはずはないのですが、少なくともお客様が普通にネットワークのサービスと向き合っていただく上で有料にしようという考えはございません。
(中略)
われわれは特に今回、Wii Uで展開する『Miiverse(ミーバース)』と呼んでいるネットワークサービス、社内では、「お客様のゲームに関する共感をいかに増幅してお伝えするか」ということをテーマにしているんですが、例えばあるソフトを楽しまれている方が、「こういうソフトも楽しいよ」というのを見たときに、今までまったく購買の対象として考慮に入っていなかったソフトウェアを「あ、これも面白いのかも」と、目を向けていただけるチャンスが生まれると思っています。すなわち言い換えると、こういうネットワークサービスを展開していくことで、直接収益は得られないとしても、ゲーム機の稼働率が高い状態が維持され、新しいソフトが出たときにより売れやすくなる。あるいは、年に2本ソフトを遊ばれていた方が、3、4本遊んでみようと思う。すなわち、ハード1台当たりのソフトの売れ方が変わってくるという形で、収益に立派に貢献できるはずだと考えていまして、それを実現するためのサービスとして何が必要かという観点から、経済的な面では運営をしていこうと思っております。
今のところ、ネット接続を有料にはしないようです。 Miiverseによるネットワークサービスで評判を広めることで、結果的に市場拡大を目指すとのこと。 いかにも任天堂らしい考えだと思います。 しかし、快適なネットワークサービスを行うには、やはりそれなりのシステム構築が必要ですから、 無料で行うには限界があるでしょう。 マイクロソフトのXboxLiveは有料ではありますが、 その分優れたネットワークサービスを体験できるものになっています。 WiiUで(Wiiにはあまりいなかった)コアなゲームユーザーを獲得しようとするならば、 XboxLiveのような快適ネットワークサービスを提供できなければ難しいでしょう。 任天堂がどうやってその点を解決していくのか、今後の展開に注目です。
A4 昨今よくインターネット上でネガティブな意見を書き込んで、事実と違うのに商品をおとしめるような行為、「ネガティブキャンペーン」とか「ネガキャン」と言われているんですけど、そういうことも行われるんですね。いわば悪質なデマであり、営業妨害だったりします。
某社と、その取り巻きのアフィブログのネガキャンは本当に酷いですからね。 こういったゲーム業界の癌を取り除いていくことが、今後のゲーム市場発展に重要でしょう。
Q8 中国への進出はどのようになっているか。また、中国でビジネスをする上で、どのような問題点があるか。次に提案として、子供も大人もハラハラドキドキできる、あるいは夢いっぱいのソフトをどんどん作ってほしい。宮本専務は世界的な賞を受けたとNHKで紹介されていたが、岩田社長や宮本専務は、ゲームクリエーターと共に、例えばサハラ砂漠をラクダの背中に乗って走破したり、南米のアマゾン川へ繰り出し、ピラニアやアナコンダやワニがいっぱいいる所等で命懸けのさまざまな体験、経験を積んでいただき、そのようなソフトを作ることに活かしてほしい。
ゲーム市場の拡大のためには、新興国への展開が非常に重要であり、 そういった意味では、中国への進出について質問することは非常に良いと思いますが、 何故その後にサハラ砂漠やアマゾン川とか言っちゃうかなぁ…。 こんなわけのわからない質問にも回答しなければいけないなんて、岩田社長も大変ですね。
筆者webサイトにて、新興国市場への進出についての記事を掲載しています。 新興国市場を狙う
Q9 昨年の株価と今の株価を比べると、半分以下になっている。ということは、会社の資産もそれだけ減っており、当然株主分も減っているということになっているので、株価対策をどのように考えているのか、教えてほしい。
A9 大変残念な報道の中に、「発売日や価格の発表を見送った」という報道もありました。もともと、「E3では発売日も価格も言いませんよ」と言っていましたし、かつてWiiを発売したときも、ニンテンドーDSを発売したときも、ニンテンドー3DSを発売したときも、E3で発売日や価格を言ったことは一度もないんです。そうであるのに、何か自信がないから発売日や価格の発表を見送った、みたいなトーンで記事が出てしまいまして、それがお客様に何となく心理的な影響を与えて、結果的に株価の形成に影響してしまうということがございます。
お前らのことだぞ産経新聞!
Q16 パッケージのソフトにはメーカーによって初回特典等でCDやブックレットといった物が付くこともあるが、現在他社さんがやっているダウンロード販売の場合、そういった物は付かなくなってしまうことが多く、ダウンロード版を買いたいけれども、特典が欲しくて結局パッケージ版を購入するという場合も多いと思うが、今度始まる小売店で購入するダウンロード版やeShopでは、このような問題を解決できるか。
A16 私たちが「デジタル販売をします」ということに対して、お客様がどのように行動されるかということを見極めてから動きたいと考えておられる関係者の方が多いので、私たちとしては、まず『New スーパーマリオブラザーズ 2』や、先ほどの『東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』といったソフトをデジタル販売したら、全体の販売量の中のどれぐらいがデジタルで売れましたということを、まず世の中にお示しして、そのことでみなさんがイメージする市場のボリュームというのが分かり、じゃあそれに例えば「ある程度在庫リスクをとってでも、初回特典型のダウンロードの販売というのも考えてみよう」と考えていただけるような流れを作りたいと思います。ただ、今日の時点では「具体的にこういう予定があります」ということは申しあげられないのと、「ダウンロード販売において何を解決しようとしているのか」ということからすると、初回特典型の商品と多少相性の悪い要素もあって、上手なマネジメントが必要になると思います。さらに言えば、もっともっと長い将来を考えると、ダウンロード販売で商品を買って、特典物は後から自宅に届いてもよいわけで、そういうような構造のビジネスもあり得るかもしれません。これらも含めて、今後いろいろと研究していきたいと思います。
ダウンロード販売数を公表してくれるとのことで、これは非常にありがたいです。 ゲーム業界において、ダウンロード本数が公表されることはまずありませんからね。 (筆者も当ブログでダウンロード本数を推測してきましたが、その精度はまだまだ不十分だったでしょうから)
もうすぐ実施されるようになる店頭ダウンロード販売は、小売の救済となるのでしょうか? 非常に興味深いです。
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